依然下値を探る動き。CBOE先物最終取引日にも注意 Crypto Market Weekly 2月8日号

松嶋真倫

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  • BTC価格は、米国情勢の動きにより価格を上下する場面は見られるも、週足では横ばい推移。
  • Facebookによるブロックチェーン企業買収やKrakenによる英国仮想通貨交換業者買収など、依然この業界における企業活動は活発な状況。
  • 市場センチメントが悪化し業界ニュースへの相場の反応が鈍い状況では、グローバルマーケットの状況が相場を左右。

今週の相場動向

相場回顧 BTC:米国情勢の動きにより価格が上下するも週足では横ばい

BTCは週初、良好な米国経済指標を受けて為替が円安に振れたことから、リスクオンムードが強まり一時BTC=38万円付近まで上昇した。しかし、週後半にかけては突発的な大口売りや米国株の下落が影響し、再びBTC=37万円付近まで価格を下げる展開となった。週足では横ばいでの推移となっている。

仮想通貨調査企業DataLightが主要取引所では米国トレーダーが大半を占めているとの調査レポートを発表したように、今週は米国情勢の動きによって価格が上下した。価格の下げに関しては、Mt.Gox管財人が過去に資産を売却していた疑いや中国旧正月の手許資金確保の動きが影響したとの見方もある。

今週のトピックス

来週の相場予想

来週の相場予想

BTCは軟調な推移となり依然下値に警戒が必要か。

大手企業によるブロックチェーンを活用した実証実験の成功や取引所のサービス拡大など、業界として嬉しい話題は見られるが、市場全体としてセンチメントが弱い状況が続いており、相場への影響は限定的となっている。このような状況では、業界内でトレンドを形成する大きな材料が出るまで、主にグローバルマーケットの状況に相場が左右されるだろう。引き続き直近下値としてBTC=36万円を割り込むかに注目したい。

また、来週はCBOE先物最終取引日前後の値動きに警戒が必要である。

来週のトピックス

  • Bittrent(BTT)、TRON(TRX)保有者にエアドロップ。(2/11)
  • CBOE先物 XBTG19最終取引日。(2/13)
  • Blockchain Summitがムンバイで開催。(2/14)
  • Blockchain Talkがアムステルダムで開催。(2/14)
  • NEO Devconがシアトルで開催。(2/16-17)

業界関連動向

規制動向:Bitgate親会社が金商法違反の疑い

2/5、証券取引等監視委員会が仮想通貨交換業者Bitgateの親会社としても知られる東郷証券の強制調査に乗り出した、と日経新聞が報じた。

報道によれば、同社は複数の顧客に対してFX取引で生じた損失の補填を行い、金融商品取引法(金商法)に違反した疑いがあるという。近年の証券業界で損失補填の疑いが明らかになるのは極めて異例とのことで業界全体の注目を集めている。

今回の事件については、あくまでFX取引に関するものであったが、当然仮想通貨業界のこととしても受け止めなければならない。最近では世界的に仮想通貨を証券法で規制すべきかどうかの議論が行われており、日本においても近い将来仮想通貨が金商法の対象となることは十分に考えられる。

そのようになれば、顧客資産やウォレットのアクセスキーの管理方法といった現在議論されている仮想通貨取引所の問題に加えて、今回の損失補填や前より指摘されている取引所従業員によるインサイダー取引など、新たな問題が顕在化することは容易に想像ができる。

技術動向 Zcash(ZEC)開発チームが水面下でZEC偽造の脆弱性を修正

2/5、Zcashは、開発チームの一つであるThe Zcash Companyが約一年前に発見した、ZEC偽造に関する脆弱性を水面下で修正していたと公表した。

脆弱性の発見には、専門性を伴う高度な技術、および、暗号に関する知見が必要であり、修正後の調査の結果として、この脆弱性が第三者に発見され、悪用された形跡は無いとしている。また、脆弱性はトークンの偽造に関わる部分に存在したため、仮に悪用されたとしても、プライバシーに影響を与えることは無かったとのことである。脆弱性の修正は2018/10/28に行われたSaplingと呼ばれる大型のアップデートに密かに含まれており、現在は完全に修正されている。Zcashのユーザーによる操作も必要ない。

公表のタイミングが今となったのは、セキュリティを考慮した結果、秘密裏に修正を行うことが最善策であると判断したためだ。修正後、関係者間で情報が共有されたのち、このたびの公表に至った。

個別企業動向 価格低迷の裏で進行する大企業の実証実験

2/1、大手監査法人のDeloitteが、アジアの物流大手Kerry Logisticsとサプライチェーン分野を専門とする技術会社CargoSmartと共同で、ブロックチェーンを活用した海運サプライチェーンの実証実験に成功したと発表した。

今回の実証実験で使われたプラットフォームでは、貿易金融関係者がデジタル化された文書を複数のブロックチェーンと相互運用しながらやり取りすることが可能であるという。従来の貿易では複雑な書類のやり取りが企業を悩ませており、これにより世界的な海運業界の効率化が進むと期待されている。

2/4、日本でも海運大手日本郵船が、世界的な鉱業会社BHP Billitonとバイオ燃料製造会社GoodFuelsと共同で、ブロックチェーンを活用したバイオ燃料サプライチェーンの実証実験に成功したと発表した。今回の取り組みは船舶の脱炭素化に向けた環境対応の一環で行われたものである。ブロックチェーンを活用した舶用燃料の管理によって、トレーサビリティーや燃料供給におけるサプライチェーン全体の品質管理が改善され、引いては二酸化炭素の排出量削減が進むと期待されている。

このように、仮想通貨の価格が低迷する裏では、大企業によるブロックチェーンの実証実験が着々と行われている。

コラム 帰属の象徴としての仮想通貨

先週から、過激派イスラム武装組織ハマスへの仮想通貨による寄付金の問題が話題となっている。このニュースを見た時に、多くの人は仮想通貨がテロ組織支援に使われた、という悪い印象を持つだろう。私も当然そのような印象を持った。世界中どこにいても簡単に資金を送り届けることができる仮想通貨は、やはり便利であり危険だ。しかし、今回の件については、寄付する側の立場に立って考えてみると、改めて違った仮想通貨の性質が意識される。

なぜ、人は相手が過激派組織であっても寄付しようと思うのだろうか。それは寄付者が過激派組織のことを信仰しているからである。このように信仰の話をすると、「この世界は共同幻想によって成り立っている」という考えが、「サピエンス全史」の流行もあって、支配的となるが、ここではそのような月並みな考えは一度捨てて話をする。確かに寄付者の心の中には過激派組織への信仰心というものが存在するのだが、彼らが本当に大事にしているのは“組織への帰属意識”ではないだろうか。組織(コミュニティ)に貢献することで、自分が組織の一員であることを確認し、何かしらの満足感、安心感を得ているのである。

このように考えた時に、仮想通貨における分散性そして透明性の議論は、一般的な見方とは真逆の方向に進む。コミュニティへの帰属意識を目的にトークンを保有あるいはそれを使った活動をするのであれば、それが分散的であるかどうかは全く関係がなくなる。透明性についても、外部にコミュニティ内の情報が漏れないよう、内部に限って確保すべきという結論になる。このような状況は社会で当たり前に見られる。何でも良いが“会員権”が存在するものがその例だ。ファンクラブやサービス会員といった一般的なものから、合言葉やシンボルマークを“会員権”とするコミュニティまで。

仮想通貨は、時として新しい経済圏の創造を可能にするイノベーションであると賞賛されるが、まずは既存社会における帰属の象徴としての役割を強めていくのではないかと今回考えた。カードで管理されている会員情報なども将来的にはトークンで、かつブロックチェーン上で管理されるようになるに違いない。その意味では既存社会のアップデートという枠組みを超えないのかもしれないが、価値の移転が可能という点ではやはり仮想通貨は革新性を備えている。その特性を生かしながら、コミュニティ内の活動と帰属の象徴としての仮想通貨をどのように結びつけるか。武装組織ハマスの件から、この先の個人によるコミュニティ帰属の在り方が少し想像された。

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