本調査レポートでは、「国内外のサプライチェーン領域におけるブロックチェーン活用事例と課題」と題し、産業別にブロックチェーンの適用状況について調査、分析している。また、1つの産業に収まらない産業横断的なサプライチェーンプラットフォームなどを技術面から分析・比較し、独自の考察を加えている。読者として想定しているのは、大企業の調査部門・R&D部門、コンサルティング会社、シンクタンク、官公庁、研究機関等である。また、海外のビジネスモデルを参考にしたいスタートアップや大企業の新規事業開発部門なども対象としている。
サプライチェーン領域におけるブロックチェーン活用は、日本においてはそれほど盛んではないが、中国のブロックチェーン関連企業の約37%はサプライチェーン関連のビジネスを行っているというデータなどから、グローバルレベルで見ると非常に注目度の高い領域であるといえる。すでに既存のサプライチェーンそのものの情報は豊富にあり、サプライチェーンの関係者を集めたカンファレンスや、その際のアンケート結果をまとめた業界レポートなどが多数存在している。一方で、ブロックチェーンとの接続領域に焦点を当てた調査や文献は国内外含めて非常に少なく、現状では体系的な情報の取得が困難となっている。そのため、本調査レポートを執筆し、グローバルなサプライチェーン領域におけるブロックチェーン活用状況を概観するに至った。
第1章では、サプライチェーン業界全体の市場規模や特許数の推移といった定量データに触れ、サプライチェーン領域にブロックチェーンを活用することの経済的なインパクトについて確認する。第2章では、各産業における海外のブロックチェーンの活用事例をプロジェクトベースで掘り下げている。また、その導入として「現状と課題」と題し、既存産業における課題とブロックチェーンに期待する役割を記載している。第3章では、日本のサプライチェーン関連の実証実験、サービス事例を取り上げ、その目的や背景、海外と比較した際の進捗状況などを確認する。第4章では、ブロックチェーンプラットフォームそのものに着目し、大企業、中国、スタートアップ、国際組織の4つのセグメントから、それらの特徴や違いを考察する。
~収録事例(全116ページ)~
<海外事例>
・コーヒー豆の来歴を確認できるC向けアプリ「Thank My Farmer」
・StarBucksが主導するコーヒー豆のサプライチェーンプロジェクト「Bean to Cup」
・ドイツのスタートアップXyleneによるトレーサビリティソリューション
・FSCにおけるブロックチェーンを用いた森林管理に関する実証実験
・農業食料環境省が主導する林業サプライチェーンプロジェクト「ChainWood」
・木炭のトレーサビリティに関するブロックチェーンを活用した実証実験
・OtmetkaID
・Fishcoinプロジェクト
・ブロックチェーンを用いた大西洋ホタテの漁獲データ管理システム
・ブロックチェーンを用いたキハダマグロのトレーサビリティシステムの構築
・Hyperledger Sawtoothを活用したシーフードトレーサビリティシステム
・ブロックチェーンを活用したサーモン、タラ、エビの漁獲データ管理
・UNISOTによるSeafoodChainの開発
・EY Skye社による養殖サーモンのトレーサビリティシステム構築
・Blockchain Tuna Project
・OpenSCによる漁業トレーサビリティプラットフォームの構築
・Mining and Metals Blockchain Initiative
・コバルトの精製プロセスにおけるトレーサビリティに関する実証実験
・カナダ政府機関を委託元とする鉄鋼トレーサビリティプラットフォーム開発プロジェクト
・Ethereumベースの金属売買プラットフォーム事業
・Karuschain
・ブロックチェーンを活用したダイヤモンドのeコマース
・ブロックチェーンを活用したバニラビーンズのトレーサビリティシステム構築
・KPMG Origins
・ブロックチェーンプラットフォームGuardtime Vinoを利用したワインの産地証明に関する実証実験
・Walmart Chinaにおける食品トレーサビリティプラットフォームの実店舗への適用
・TATTOO Wine Platform
・Carrefour Quality Lineを用いた牛乳のサプライチェーン
・Nongshim Data SystemとMega Martによる牛肉のトレーサビリティシステム構築
・ブロックチェーンを活用した日米間の牛肉輸送トレーサビリティに関する実証実験
・China Food Chain
・生産地から工場までの鉛鉱物のバッテリーサプライチェーンを追跡するための実証実験
・自動車サプライチェーンにおけるトレーサビリティ管理プラットフォーム「PartChain」
・部品管理のトレーサビリティ向上を目指すブロックチェーンスタートアップ「SyncFab」
・サプライチェーンソリューションを提供するブロックチェーンスタートアップ「ARXUM」
・サプライチェーン契約ソリューション
・自動車産業における完成車の物流コンソーシアム「Vinturas」
・自動車サプライチェーンにおける金融サービスに関する実証実験
・中古車販売における高級車の真正性トラッキングサービス「Sicura」
・ブランド品のトレーサビリティシステム「AURA」
・衣類のサプライチェーンを可視化するプラットフォーム「Provenance」
・サプライチェーンの透明性を高めるブロックチェーン対応のデジタルプラットフォーム「TextileGenesis™プラットフォーム」
・プラスチック廃棄物の活用を証明するシステム「Waste2Wear®ブロックチェーンシステム」
・Made in Italy製品を保護するためのパイロットプロジェクト
・ブロックチェーンを活用した医療関連データ管理システム
・ブロックチェーンを活用した臨床試験データ管理システム
・Bo’ao(博鳌乐城)における認可医薬品および医療機器のトレーサビリティ管理プラットフォーム
・製薬業界のためのブロックチェーンネットワーク「MediLedger Network」
・医薬品サプライチェーンにおけるトレーサビリティの向上を目的としたDSCSAパイロットプロジェクト
・ブロックチェーンを活用した医薬品サプライチェーンソリューション「SAP Information Collaboration Hub」
・欧州におけるヘルスケア業界コンソーシアム「PharmaLedger」
・ブロックチェーンを活用した医薬品情報管理システム
・ブロックチェーン技術を活用した、医薬品トレーサビリティーのパイロットプロジェクト
・ブロックチェーンとAIを活用した、健康転帰評価(Health Outcomes Assessment)プラットフォーム
<国内事例>
・宮崎県綾町における、エシカル消費行動の促進を目的とした、農産物サプライチェーンのトレーサビリティ実証実験
・インドネシアにおける天然ゴム原料調達サプライチェーンを対象とする追跡実験
・ブロックチェーンを活用した漁獲物トレーサビリティシステムの実現に向けた流通実態調査および実証実験
・ブロックチェーン技術を用いた鋼管トレードにおけるトレーサビリティ実証実験
・欧州域内の船舶運航中における、ブロックチェーンを活用した舶用燃料のトレーサビリティ実験
・食品トレーサビリティプラットフォームの効果検証実験
・ブロックチェーン基盤の個品管理プラットフォームに関する実証実験
・ブロックチェーンを活用した医薬品のデッドストック販売プラットフォーム
・EMURGOトレーサビリティ
・SMAGt
・monotokne
・SeDi
・ichimana
・Zenport
<プラットフォーム>
・IBM Food Trust
・SAP Cloud Platform Blockchain
・Hyperledger Sawtooth
・Mastercard Provenance Solution
・XuperChain(超级链)
・FISCO BCOS
・Ambrosus(AMB-NET)
・KSI Platform
・ATALA Framework
・OwlTing Blockchain Services
・WEF主導のブロックチェーン基盤サプライチェーントレーサビリティプラットフォーム