ETHハードフォーク睨みつつも、底堅い動き Crypto Market Weekly 2月22日号

松嶋真倫

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  • BTCは、ETH主導で節目となるBTC=40万円を突破すると、株式市場の上昇もあって投資家心理が改善し大幅上昇
  • ETHは、先物取引やConstantinopleハードフォークへの期待といった複合的な要因で急上昇。その後も新たなスケーリング技術が提案されるなど市場で再び注目を集めている
  • BinanceがDEXのテストネットを立ち上げ、それに合わせてBinance Coin(BNB)が急上昇。来週には第2弾となるトークンセールイベントを控える
  • 来週は、短期的な利益確定売りにより価格を下げる場面はありながら、底堅い推移を予想

今週の相場動向

相場回顧 BTC:ETH主導で節目となるBTC=40万円を突破し大幅上昇

BTCは、週初より安定した推移となっていたが、18日にETHが強い動きを見せると連れ高してBTC=44万円付近まで大幅上昇した。その後は、ETHの上昇も一服し、短期筋による売りも入って軟調な推移となった。

ETHの上昇については、JPMコインがETHベースで開発されていることや、ErisXが米CFTCに提出したETH先物取引に関する肯定的な意見書、BNBの需要の高まり、来週のConstantinopleハードフォークへの期待など複合的な要因が考えられる。

今週の仮想通貨市場はETHが主導したという面はもちろんあるが、何より株式市場を含めたグローバルマーケットにおける投資家心理改善が大きく影響したと思われる。米国政府機関の再閉鎖が回避され株式市場が上向いたこと、前週の好材料に続きBTCが節目となるBTC=40万円を回復したことで、市場全体として買いに動きやすい環境であったことが伺える。

今週のトピックス

  • ETHのProgPoW実装に関するオンライン投票が実施され大半が支持。(2/15)
  • 米SEC、Bitwise申請分の仮想通貨ETF審査を11日より開始したと発表。(2/15)
  • Coinmamaがメールアドレス等45万件のデータ流出を報告。(2/15)
  • Binanceが上場5通貨CLOAK, MOD, SALT, SUB ,WINGSの廃止を発表。(2/15)
  • ErisXが米CFTCに対しETH先物取引に関する意見書を提出。(2/15)
  • QuadrigaCX、秘密鍵をペーパーウォレットで管理していた可能性。(2/16)
  • オマーンのBank DhofarがRippleNetでインド向け決済をスタート。(2/17)
  • インド警察が15億円規模の仮想通貨詐欺関与のグループを逮捕。(2/17)
  • UAE、ブロックチェーンで廃棄物処理を管理する試み。(2/17)
  • IOTA財団がインキュベーション会社Novaと提携。(2/18)
  • QUOINEが国内大手小売会社と仮想通貨決済導入に向け議論。(2/18)
  • Coinbase対応のShift Bitcoin Debitcardが4月にサービスを停止。(2/18)
  • Bitmainが新たなASICマイニングチップBM1397を発表。(2/18)
  • Gincoが日本マイクロソフトと提携しGinco Nodesの提供を開始。(2/19)
  • StreamrがETHの新たなスケーリング技術Monoplasmaを公開。(2/19)
  • Coinbaseがブロックチェーン関連セキュリティ会社Neutrinoを買収。(2/19)
  • Bitgoが最大1億ドル補償の仮想通貨保険プランの提供開始を発表。(2/19)
  • 日銀が中央銀行デジタル通貨に関する論文を公表。(2/19)
  • 大和証券グループがブロックチェーンの証券業務応用検討プロジェクトを発足。(2/19)
  • BinanceがDEXのテストネット立ち上げ。(2/20)
  • Samsungが秘密鍵保管機能を掲載したGalaxy S10を発表。(2/20)
  • BITpoint親会社がタイで仮想通貨交換業ライセンスを取得。(2/21)
  • Liquidで仮想通貨のクレジットカード購入が可能に。(2/21)
  • オーストラリア国立大学がRipple社から100万米ドルの支援を受けたと発表。(2/21)

来週の相場予想

来週の相場予想

BTCは価格を下げる場面はありながらも底堅い動きとなるか。

今週の上昇を受けて短期筋による利益確定売りが優勢になると思われる。しかし、今の市場には特段悪材料は見当たらず、期待材料である仮想通貨ETF審査や先物取引拡大についても好転していることから、相場は底堅い動きになると予想する。直近下値としてBTC=41万円を意識。

逆に、アルトコインの急騰や株式市場の上昇が見られれば、BTCにも買いが入りやすく、買いが買いを呼んでさらに上昇することも考えられる。その際にはBTC=44万円を超えられるかに注目。
また、来週はETHのConstantinopleハードフォークの実装を控えており、その前後の値動きは注視が必要である。

来週のトピックス

  • IOSTがメインネットローンチ予定。(2/25)
  • Holoがクローズドα版テストネットローンチ予定。(2/25)
  • Binanceが第2弾となるトークンセールイベント実施。(2/25)
  • Mobile World Congressがバルセロナで開催。(2/25-28)
  • Crypto Assets Conferenceがフランクフルトで開催。(2/25-26)
  • ETH、Constantinopleハードフォーク実装予定。(2/27前後)
  • Stellarがテストネット更新予定。(2/27)
  • Aeternityがトークン移行フェーズ1を終了予定。(2/28)
  • Fintegrate Zone 2019がムンバイで開催。(2/27-3/1)
  • Crypto Investor Showがロンドンで開催。(3/1-2)

業界関連動向

規制動向 インドネシア規制当局が新たな仮想通貨規制の枠組みを発表

2/18、インドネシアの商品先物取引規制機関(Bappebti)が仮想通貨に関する新たな規制の枠組みを正式に発表した。

今回の規制では、改めて仮想通貨がコモディティとして定義され、政府が国内取引所やトレーダー、清算機関、上場通貨に求める様々な要件が示された。主な要件としては、取引所やトレーダー、清算機関であれば資本金、口座残高といった資本要件、上場通貨であればAML・テロ資金供与防止、時価総額といった技術要件が挙げられる。いずれも参入障壁が高まる内容で、国内業者にとっては影響が避けられないものとなった。

一方で、規制発表以降にはルピア(IDR)建てのビットコイン取引高が増えており、規制方針の明確化を好感する者もいた。

インドネシアでは、中央銀行の警告によって2017年以降仮想通貨を支払い手段として使用することができなくなった。規制当局が今回仮想通貨をコモディティと定義づけたことで、同国では今後ますます仮想通貨が金融商品としての性格を強めていきそうである。

技術動向 Blockstreamが新たな電子署名方式MuSigのテストコードをリリース

2/18、ブロックチェーン技術開発を手掛けるBlockstreamが、新たなマルチシグの電子署名方式であるMuSigのテストコードをリリースした。

MuSigは、現在ビットコインで使われている署名アルゴリズムECDSAの代わりとして、導入が検討されているものである。複数の署名を一つの署名としてまとめることができるシュノア署名を採用し、署名データサイズ削減によるスケーラビリティ問題の改善、さらにはプライバシーの向上が期待されている。また、同じく提唱されているゼロ知識証明ベースの署名方式Bulletproofsに比べて、数学的には単純だが実装プロセスが複雑という特徴もある。

MuSigは、これまで構想段階であったが、今回の発表によりコードとして誰でも動かすことが可能になった。Blockstreamはコミュニティに対してコードテスト及びフィードバックの提供を呼びかけており、これを機にMuSig実装に向けた議論は活発化していくだろう。

コミュニティの分裂を危惧する人もいると思うが、Segwit導入によって署名方式の変更はソフトフォークで行うことが可能となった為、そのリスクはそこまで高くないと言える。

個別企業動向 国内大手企業によるブロックチェーン事業への取り組み

2/18、リクルートが、自社が立ち上げたブロックチェーンファンドRSP Blockchain Tech Fund Pte. Ltd.を通じて、匿名通貨BEAMに出資したと発表した。同社は、機密情報保護の重要性と、ブロックチェーン技術のイノベーション促進における革新的な影響力を認識した上で、トランザクションの機密性向上に努めるBEAMに将来性を感じたという。

同日、SMBCが三井物産と共同で、R3が開発するブロックチェーンを用いた、貿易取引プラットフォームMarco Poloの実証実験を完了したと発表した。SMBCは、貿易実務の省力化を目指す世界コンソーシアムに邦銀として唯一参加しており、今年度上半期を目標として実地利用を開始するという。

2/20、丸紅が米LO3 Energy Inc.と共同で、日本国内におけるブロックチェーンを用いた電力取引の実証実験を開始すると発表した。本実証実験では、電力消費者と発電所にメーターを設置することで、電力消費者が発電所で発電された電力の購入希望価格を専用モバイルアプリで設定し、購入することを模擬的に行うという。

このように、国内においても大手企業がブロックチェーン関連事業に本格参入しようとしている様子が伺える。大手企業を通して実生活が便利になるようなブロックチェーン活用サービスが提供されれば、世間への普及は自然と進んでいくだろう。

コラム 仮想通貨・ブロックチェーンの誕生を機に議論すべきイデオロギーの中央集権

人は気づけば新しいものを好むようになった。それは19世紀の産業革命以降、機械すなわちテクノロジーによって日々世の中が便利になってきたからである。三種の神器に見られるように、新しく世に出たばかりの頃には皆が揃って欲しがり、それがコモディティ化すれば次の新しいものが欲しくなる。技術の進歩は今も止まることがなく、次から次へと新しいものが現れてくる。

このような時代の流れに慣れてくると、「新しいもの=良いもの」という価値観が社会を支配すると同時に、古いものの廃用化が進み、時代遅れの人はどこか嘲笑される傾向が出てくる。わかりやすい例で言えば、スマートフォン。未だにガラケーを使っている人は「え?」というようなビックリした顔を周りからされるだろう。果たして本当に”時代遅れの人”は悪なのだろうか。

私たちはこれまでも社会に独占的な価値観、ルールを作り出すことでマジョリティとその他を分けてきた。そして何かを失ってきた。義務教育制度の上では不登校者は周りに変な目で見られる。これが仮に、学校に通うのが当たり前なのに来ないから変だ、とするならばそれは大きな間違いだ。一体誰が勉強は学校でするものと決めたのだろう。この制度によって、人の自己学習能力が年々失われていることに気づくべきである。

さらに教育の延長にあるのが仕事である。大学卒業してすぐに働くこと、一つの会社に属して働くこと、決められた時間・場所・服装で働くことなど一見当然のことに思えるこれらのことは、社会によって作り出された行動規範であることを認識しなければならない。その他にも、月並みに言えば年功序列やジェンダー論、最近の流行りで言えば先生と教師の恋愛NG、アイドルの恋愛NGなど挙げれば枚挙に暇がない。

仮想通貨・ブロックチェーンの登場により、業界を中心に一部のコミュニティでは中央集権を疑う議論が巻き起こっている。その際にはどうしても中央管理体としての政府や金融機関が焦点となるが、何も中央集権であるものは組織に限った話ではない。世間が無意識のうちに当たり前と思い込んでいるイデオロギーによる根源的支配こそ、私たちが今後議論すべき中央集権の話ではないだろうか。分散化の議論はこのように捉えても面白い。

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