急成長分野における女性の割合はわずか3割
ダボス会議に登壇したLinkedIn(リンクトイン)の創業者の1人であるAllen Blue氏は、AIやブロックチェーンといった急成長領域において、女性が排除されていくリスクに警鐘を鳴らした。
時計を早送りして、これらの仕事に女性が少なすぎる場合、ネットワークは時間の経過とともにその分離をより強化する。したがって、5年ないし10年後には、女性が就く仕事と、男性が就く仕事との分離はより強固になり、ジェンダーの壁を打破することはさらに困難になるだろう。
LInkedInの調査では、現在、AI、ブロックチェーン、データサイエンティスト、機械学習、ソフトウェアエンジニアリング、クラウドコンピューティングといった先端技術職における女性の割合は30%程度である。
スキルある女性は「隣接した」領域に閉じ込められている
この不平等な状況を、女性の能力不足の帰結としてみることはできない。6億人以上のユーザーを、2000万もの職種と紐づけたLinkedInの膨大なデータは、女性にスキルが不足してることをしめしはしない。
LinkedInのデータを分析して、あきらかになったのは、スキルを有した女性が、ただ「隣接した」領域に身をおいてしまっているということである。
この状況は女性と男性とのあいだにある、ネットワークへのアクセスしやすさの差によって生まれている。普通に考えれば、急成長領域に人材が不足していることはよく知られたことであって、その領域の企業は喉から手がでるほどそれらのスキルを欲しているはずである。
ゆえに、このミスマッチングはホモ・ソーシャルが引き起こしているといえるだろう。女性はAIやブロックチェーンといった先端領域が男性社会であるがゆえに、その雇用ネットワークへアクセスできずにいるのである。
冒頭のBlue氏の言葉は、このことを踏まえて述べられたことである。
現在の先端領域に敷かれた雇用配置に、なにも手が加えられなければ、いわゆる「ネットワーク効果」が働いて、男女間の雇用機会はますます不平等になっていくだろう。
なお、ブロックチェーン業界は、雇用機会という点だけでなくそのユーザー層も、男性に偏っている。暗号資産によるIRA(個人退職口座)を提供するBitIRAは、暗号資産投資家における女性の割合を掲示している。これによれば、もっとも厳格な調査で5~7%であり、これより優しい見積もりでも10%以下しかいないという。