教育業界におけるブロックチェーンの導入

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ブロックチェーンとは、仮想通貨ビットコインを支える中核技術だ。その特徴であるデータの分散管理や、改ざんの難しさから、近年様々な分野において応用が検討され、中には実装されているものも存在する。その動きは、教育分野でも同様だ。

学歴認証、学習歴の証明、学生の信用調査、信用できる教育リソースの共有、オンライン授業の自動取引、分散化された教育システムの構築など、教育分野でも、ブロックチェーンの特徴を活かした様々な取組みが進められている。以下では、教育の各分野において、実際にブロックチェーンの導入が検討、開始されている例を紹介する。

学歴認証

雇用市場の競争激化とインターネットの発達により、学歴の詐称は国際的な問題となっている。また、実際に就学せずとも、金銭と引き換えに高等教育の学位を授与すると称する機関・組織・団体・非認定大学(ディプロマミルやディグリーミルと呼ばれる)も、アメリカを中心に問題となっている。

そうした問題の解決策のひとつとして、ブロックチェーンを活用した学位証明の試みが行われている。学位をブロックチェーンに記録することにより、学歴の改ざんは実質不可能になる。

Blockcerts

Learning Machine Technologies社とマサチューセッツ工科大学(MIT)のメディアラボは、Blockcertsというオープンソースの開発プラットフォームを共同開発した。Blockcertsを利用することで、ブロックチェーンベースの証明書を作成、発行、表示、および検証できるため、学校などが導入し始めている。

MITは2017年10月、Blockcertsを利用し、一部の学生の学位証明をブロックチェーンで行った。生徒や卒業生は、iOSおよびAndroidで利用可能なBlockcerts Walletと呼ばれるアプリケーションを利用する。

このアプリケーションでは、学位情報を保有するための公開鍵と秘密鍵が管理され、自身の学位証明情報や卒業証書を素早く簡単に雇用者や学校、家族、友人などに共有できる。

同様に、オーストラリアのメルボルン大学Blockcertsを用いて、アジア太平洋地域で初めて学位証明をブロックチェーン上に記録したことを発表している

e-Scroll

マレーシアの教育省は2018年、ブロックチェーンによる大学の学位証明書を発行および検証するWebアプリケーション、e-Scrollシステムを立ち上げた。開発には、国際イスラム大学マレーシア(IIUM)とNEMのブロックチェーンを利用した真贋判定、所有権保護を目的としたソリューションを提供するLuxTagが行った。

e-Scrollシステム初の導入事例として、2018年11月、IIUMの大学院の卒業生200人を対象に、NEMのブロックチェーンに刻まれた学位が授与された。大学が発行する学位証明書には固有のQRコードが記載されており、これを読み取ることでe-Scrollシステムへアクセスし、学位が正式なものかどうか、検証することができる。

学習歴の証明

学位や卒業証明と似た例として、具体的な学習履歴をブロックチェーンに記録する試みも見られる。学習内容や結果をブロックチェーン上に記録することで、学生のスキルが可視化されるため、企業が採用活用を行う際に役立つと考えられている。学習履歴の記録は「オープンバッジ」と呼ばれ、学習に関する様々な情報が記載される。

ソニー・グローバルエデュケーションは2017年、「学習到達・活動記録をオープンかつ安全に相互利用する技術」を用いて、複数の教育機関のデータを一元的に管理し、信頼性のある学習データやデジタル成績証明書等の登録・参照が可能なシステムを開発した

2019年2月には、同社は富士通と提携し、留学生の日本語講座の受講履歴をブロックチェーンで管理する実証実験を行うと発表している。企業が外国人就労者や留学生を雇用する際に、ブロックチェーン上の記憶が役立つ。

また、マルタの教育雇用省は、国民の生涯学習の履歴を一元管理し、好きな時に自身の資格の証明を世界中の人々と共有できるプラットフォームを構築する計画を掲げている。

2017年からLearning Machine Technologies社と契約し試験的にBlockcertsによる開発および導入が進められていたが、2019年2月には、本格的な導入を目指すような契約の拡大が行われた。マルタ島はブロックチェーン技術の導入が進んでいることで有名だが、教育分野でも活用されている。

教育リソースの共有

仲介者を挟まず、学生と講師を直接繋ぐ教育プラットフォームEduHashが、2018年に創設された。EduHashは、パーソナライズされたコンテンツや教育動機の付与を目的とし、ブロックチェーンを用いて、P2Pで教育コンテンツを共有するシステムだ。

教育を受ける者が、自分にとって必要な教育リソースを得られる世界の実現を掲げており、教育界のネットフリックスを目指しているという。

ブロックチェーンと教育の今後

現在教育分野は、世界各地でブロックチェーンの導入が進み始めており、利便性の高い教育システムの構築に向けた過渡期にあると言えるだろう。ここまでで述べてきたもの以外にも、構想段階の取組みは複数存在する。

ブロックチェーンの活用によって、より開かれた平等な教育が実現されることを期待したい。

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